私が事務所を拡大しないでひとり税理士でいる理由

私が事務所を拡大しないでひとり税理士でいる理由

プロフィールなどに書いている通り私は現在、税理士事務所をひとりでやってます。
だれかを雇ったり外注さんにお願いしたいということもしていません。
今のところは、拡大しないでひとりでやっていくつもりです。

拡大する、といってもその定義は人それぞれだと思います。
私が思う「拡大する」、とは次のことです。
・従業員を雇う
・事務所を借りる
・お客様の数が増える

ですので、ここでは拡大すると、従業員を雇ったり事務所を借りることと同じです。

私は次の理由から拡大しない方針でやっています。

無理に売上を追わなくて済む

独立までに何社か税理士事務所、会計事務所で勤務してきました。

それぞれトップの考え方やスタイルは違いましたが、共通点することがひとつありました。
それは、(私の勤務当時は)トップが一番仕事をしていたことでした。

土日にメールしているのは当たり前。
なかには、一年間で休みが12月31日と1月1日だけ!という人もいました。

世の中には実務も経営もやらない税理士が少なからずいるなかで、ちゃんとしたトップの下で働けたのは良かったと思います。

従業員を雇えば、毎月お給料を払うことになります。
仮に赤字や売上が0円でも、働いてもらった分の対価を支払うのは当然のことです。

人を雇うというのは、それだけ責任があることです。
給料を払うには、売り上げがあってお金が入ってこないとダメです。
売り上げを増やすために仕事を増やすと、また人が増えて大きな事務所を借りることになります。

となると、常に売り上げのある状態、増える状態を続けないといけません。
どこかで拡大を止める判断もあるでしょうが、決断が難しいところです。
そして、その状態では経営だけに集中して税理士業どころではないでしょう。

一方、ひとりでやっていても売り上げが必要ですが、必要な金額が違います。
最悪、自分と家族が食べていけるだけの収入があればいいですし、無理して必要以上に稼がなくてもいいわけです。

誰かを犠牲にすることになる

世の中、だれも犠牲にならずみんなが平等というのはなかなか難しいです。
平等にしようと思っていても、実際はうまくいきません。

ビジネスにおいてもそうでしょう。
たとえば、
・売上を上げるには、だれかが仕事をとってこないといけない。
・仕事が増えたらだれかが(キャパオーバーでも)担当しないといけない。
・組織を維持するためにだれかが悪者になる。

ビジネスを拡大する、儲けるためにはきれいごとを言ってないで上記のようなことも必要な場面があるかもしれません。

ただ、せっかく独立したらやりたくないことで消耗するのもいやですしだからこそ独立したのです。

マルチタスクやマネジメントが苦手だから

拡大して誰かを雇うと従業員から相談を受けたり仕事の進捗を確認したりと、マネジメントが必要になります。

また、従業員を雇うほどの規模になればお客さまも増えているでしょうからお客さまからの相談や申告業務、さらに従業員からの相談などもあります。

マルチタスクでいろんな仕事を切り替えながら進めていくことになるでしょう。

私の性格的に自分の仕事、ひとつの仕事に集中したいのでマネジメントやマルチタスクでの仕事は、極力やりたくないと思っています。

雇われの立場で、上司からやれと言われれば、やりたくない!と言ってられないのでちゃんとマネジメントの勉強をしてやるつもりですが、独立していれば、自分でそんな状況にしなければいいわけです。

ピーターの法則ではないですが、向かない立場になると上の立場と下の立場、双方の人にとって幸せになりませんし。

やりたくないことをしなくて済むので、その分の時間や体力をお客様の方に向けえることができます。

自分が担当したい

お客様の数が増えてくると、私一人では担当しきれないので誰かに任せることになります。

そうすると担当者によって提供する仕事の質が変わってしまうことがあります。
マニュアルと用意したりしっかり教育すればいいかもしれません。

しかし、税理士業務は有形のモノを提供する仕事ではないのでどうしても人によって変わってしまうでしょう。

お客様や従業員が増えると、だんだんそれぞれに目が届かなくなります。
そうすると、私が提供したいと思っているものが提供できない可能性があります。

世の中には、「税理士に担当してほしい」、「税理士に直接相談したい」という需要がありますし、
特に若手経営者や女性は年配の税理士に相談しずらいので、私はその受け皿になりたいと思っています。

会計や税金だけではなく経営に関する悩みなどもサポートしたいと思っていますので、誰かに実務を任せる拡大路線は私のスタイルとは違うかなと。

もちろん、特殊で難しい相談や規模が大きな事務所でないと対応できない案件や、大きな事務所がいいという方はそういった事務所と契約されるのがいいでしょうし、それぞれ合う相手と仕事をするのが一番いいと思います。

誰にとっても絶対的な理想というものはないでしょうから。